2024/09/12 19:15
キャビアの原料であるチョウザメ。キャビア・フィッシュとも呼ばれています。
名前に『サメ』が付く生き物ですが実はサメではなく、その身体的特徴も生態も全く異なる魚です。
蝶のような形のうろこを持っていることや、長い鼻やしっかりとしたヒレなどからチョウサメの名がつけられました。
本記事ではキャビアの原料としてのチョウザメの種類や特徴について詳しく説明していきます。
チョウザメとは
チョウザメは主に河川に生息する大型の淡水魚で、なんと3億年前からほとんど姿を変えていない古代魚。実はシーラカンスと同じ頃に誕生した魚で『生きた化石』とも言われます。
ユーラシアと北米に広く生息しており、かつてはアフリカ、日本の北海道にも生息していました。
成長が遅く、寿命が長いのが特徴で大きなもは8メートル近く、重さ1トン以上の個体も発見されています。
現在生存するチョウザメは、チョウザメ科とヘラチョウザメ科の2科があり、チョウザメ類は28種類に及びます。しかし高級食材であるキャビアの採取を目的に深刻な乱獲につながり、ほとんどの種が絶滅危惧種や近絶滅種とされています。
キャビアが生産されるチョウザメの種類は限られており、現在では比較的養殖が容易で良質なキャビアを生み出す、ロシアチョウザメ、シベリアチョウザメやシロチョウザメを中心に世界各国でチョウザメが養殖されそれぞれに特徴があります。
天然チョウザメと養殖チョウザメ
絶滅が危惧られるようになった天然のチョウザメは1975年に締結されたワシントン条約「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」の漁獲指定となっており、それらを原料に作られるキャビアの輸出は極めて厳しく管理されています。
キャビアの輸出入にはCITES(サイテス)と呼ばれる輸出許可書を取得する必要がありますが、カスピ海産の天然チョウザメを原料とするキャビアに許可が下りるような事はなく、現在正規のルートで輸入された天然のチョウザメを原料とするキャビアを日本国内で見かけることはほぼありません。ただしアメリカ産ヘラチョウザメを原料とするキャビアに関しては現在でも天然キャビアを食すことができます。
チョウザメの種類ごとの特徴
現在ではキャビアの原料となるチョウザメはほとんど養殖ですが、その種類(品種)と卵の粒の大きさによってブランド価値が異なります。
主な品種はキャビアの王様と言われるベルーガ(Beluga / オオチョウザメ)を筆頭に、オシェトラ(Oscietra / ロシアチョウザメ)、カルーガ(Kaluga / カルーガチョウザメ)、アムール(Amur / アムールチョウザメ)の等の卵が大粒な種類から、バエリ(Baerii / シベリアチョウザメ)という小粒の卵ではありますが生産期間が比較的短い品種も養殖されています。
固有種だけでなく配合種として大粒の卵が特徴のアムールカルーガ、産期間の短いベステル(オオチョウザメとコチョウザメ)などが新興産地では積極的に養殖され品質も年々よくなってきています。
■BELUGA / ベルーガ
特徴:チョウザメの中でも特に貴重で最大級の魚種。寿命は約100年。1000kg以上に成長する個体もいるチョウザメを代表する品種。卵は滑らか且つ均一で、美しい艶があり、卵の大きさが3.2mm以上になりキャビア最大の卵です。
卵の色:パールグレイ~濃いグレー
卵の大きさ:直径3.2mm以上。
■OSCIETRA / オシェトラ
特徴:ロシアンスタージオン単一種のキャビア。こ希少性が高く価値も評価されています。豊潤なキャビア油がまるでオーガニックバターのような味わいで、色は主に茶色がかったゴールドまたは黄金色。魚卵の直径は3mm以上になり、特徴的なヘーゼルナッツの軽い香り。焼きたてのパンやブリニなどとシンプルに合わせるのがおすすめ。
卵の色:ブラウン~ゴールド
卵の大きさ:直径2.9mm以上。
■TRANSMONTANUS / トランスモンタヌス
特徴:北米原産のシロチョウザメのキャビア。粒が大きく、つやのあるチャコールグレイがとても美しい。バターのような濃厚な味わいにほのかな森の下草の香り、食感は滑らかで繊細。とてもエレガントな風味を持ち、口の中で深い余韻が続きます。
卵の色:チャコールグレー
卵の大きさ:直径2.6mm以上。
■BAERI / バエリ
特徴:2.4mm以上と小粒ながらブラックダイヤモンドと言われるような鮮やかな反射と濃いグレーを基調とした色見の安定感。繊細さと複雑さを併せ持った人気のキャビア。口の中でとろけるバターのような食感とドライフルーツのような風味。後味に少し土っぽさを感じられる野性味もある。
卵の色:ブラックグレー
卵の大きさ:直径2.4mm以上。